火災保険の最新トレンド
2023年10月掲載監修者
2024年度にも再び火災保険が改定
近年、火災保険の保険料は値上げが続いています。2015年10月の改定を皮切りに、大手損害保険会社でも4回ほどの改定が実施されており、平均すると約2年に1回は保険料が値上げしていることになります。
損害保険料率算出機構が、2023年6月21日に、火災保険の参考純率(※1)の改定を届け出ました。全国平均で過去最大となる13%の引き上げとなります。
火災保険の改定は、各保険会社が自由に実施できます。ただし、参考純率をもとに保険料を算出している保険会社が多いため、今回の改定にあわせて各保険会社が火災保険を改定するものと考えます。現時点で各保険会社は改定について正式な発表は行っていませんが、2024年度中に実施される可能性が高いでしょう。
※1 損害保険料率算出機構が算出する純保険料率(保険料のうち将来支払う保険金に充てられる部分)を指します。
参考純率の改定の背景
短い期間で連続して参考純率が改定されていますが、その背景は2つあります。
1つ目は、自然災害の影響、住宅の老朽化や修理費の高騰による保険金支払いの増加です。近年、甚大な被害を及ぼす自然災害が、頻繁に発生している傾向にあります。加えて、住宅が老朽化すると漏電や漏水のリスク、台風などによる倒壊リスクも高まります。また、物価高は修理費にも影響を及ぼしており、いずれも保険金の支払いが増加する原因となっています。
2つ目は、水災料率における保険料の公平化です。現在の水災補償の保険料率は、全国一律です。しかし、近年増加している洪水や土砂崩れなどのリスクは地域ごとに異なります。そのため、各地域の水災リスクにあわせた保険料率の見直しが必要になったのです。
水災料率の細分化
水災補償の保険料率は、地域リスクに応じて5区分に細分化されています。具体的には、市区町村別に1等地(リスクが低い)から5等地(リスクが高い)までの5区分です。
市区町村別のリスクで細分化するため、同じ都道府県内でも地域によって、保険料の増減幅は異なります。区分ごとの保険料の最大差は約1.2倍(※2、3)といわれています。なお、損害保険料率算出機構の水災等地検索で、お住まいの地域の水災等地を確認できます。
水災等地の検索結果に関して、1等地でもリスクがゼロではないこと、基礎データの更新によって今後、等地区分の見直しがあること、以上の点に注意してください。
※2 出典:損害保険料率算出機構「(別紙)水災料率の細分化について」
※3 参考純率をもとにした数値であり、実際に契約する際の保険料の差とは異なります。
火災保険の改定に向けて備えること
このように、火災保険は、再び値上げ改定される可能性があります。その場合、所在地や建物の構造、契約内容などによって、改定の影響の有無や、改定後に保険料が上がる場合も、その値上げ幅が異なります。特に、築年数の経過している物件や水災リスクが高い地域に住んでいる場合は、影響を受ける可能性があるため、火災保険の加入や見直しを早めに検討することをおすすめします。
また、基本的には、短期契約よりも長期契約の方が合計で支払う保険料を抑えられるため、最長5年の長期契約にすることも1つのポイントです。
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